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2020/07/27

扶養家族・配偶者の定義とは?履歴書の扶養家族・配偶者欄の書き方をご紹介!

著者: シゴ・ラボ編集部

扶養家族・配偶者の定義とは?履歴書の扶養家族・配偶者欄の書き方をご紹介!

履歴書は、就職・転職のときに必要となる書類で、学歴や職務経歴、保有資格・免許など、たくさんの記載項目があります。なかでも、履歴書の「扶養家族」「配偶者」の欄に記入する際には、どのように書けば良いのでしょうか。

今回は、履歴書に扶養家族・配偶者を書く理由やそれぞれの定義、扶養家族の数え方、記載方法について詳しくご紹介します。

目次
扶養家族・配偶者とは
税法上の扶養家族・配偶者の定義
社会保険上の扶養家族・配偶者の定義
履歴書における扶養家族・配偶者欄の書き方
扶養家族・配偶者欄の状況別具体例
扶養家族・配偶者の意味を理解し、履歴書でも正しく記載しよう

扶養家族・配偶者とは

扶養家族・配偶者とは

扶養家族とは、一般的に生計を同じくしている家族のことを指します。また、配偶者とは、夫婦など婚姻関係にある相手のことを指すのが一般的です。

しかし、扶養家族や配偶者の定義・対象範囲は、「税法」と「社会保険」で、若干取り扱いが異なります。ここからは、税法上と社会保険上における「扶養家族」と「配偶者」それぞれの定義や違いについてご紹介していきます。

税法上の扶養家族・配偶者の定義

扶養家族

税法(所得税・住民税)における「扶養家族」は、正式には「扶養親族」と言います。扶養親族とは、16歳以上であり、かつその年の12月31日の時点で、以下の4つの要件をすべて満たしている人を指します。

(1)配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または、養育を委託された児童(里子)、養護を委託された老人であること

(2)納税者と生計を同一にしていること

(3)年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であること*
*給与のみの場合は、年間の給与収入が103万円以下

(4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと。または白色申告者の事業専従者でないこと

※参考元:国税庁『No.1180 扶養控除

税法上の扶養家族の範囲

税法において扶養家族とみなされる「6親等内の血族及び3親等内の婚族」とは、以下の通りです。

・1親等=父母や子、配偶者の父母
・2親等=祖父母・孫およびその配偶者、兄弟姉妹、兄弟姉妹の配偶者、配偶者の兄弟姉妹
・3親等=曾祖父母およびその配偶者、ひ孫およびその配偶者、納税者と配偶者の伯叔父母およびその配偶者、甥・姪およびその配偶者
・4親等=高祖父母、玄孫、伯叔祖父母、従兄弟姉妹、甥や姪の子など
・5親等=高祖父母の父母、来孫、従兄弟姉妹の子及び甥・姪など
・6親等=高祖父母の祖父母、昆孫、従兄弟姉妹の孫など

また、16歳未満については、平成22年以降の児童手当制度の創設に伴い、扶養家族とは見なされなくなりました。税法上は、扶養家族としてカウントされないので、注意しましょう。

税法上の扶養家族のメリット

扶養家族のいる納税者は、「扶養控除」が受けられます。扶養控除は、養っている人がいる場合に税金の負担を減らすための措置のこと。

扶養家族が上記の要件を満たしていれば、納税者は収入から一定の金額が控除されます。また、扶養家族が収入を得ている場合でも、収入が一定額以下であれば、その扶養家族本人には課税されません。

※参考元:国税庁『No.1180 扶養控除

配偶者

税法における配偶者の要件は、民法上(戸籍上)の配偶者であること。税法上の場合、事実婚や内縁関係にある相手は、配偶者に含まれないので注意しましょう。

税法上の配偶者のメリット

配偶者が扶養親族の(2)~(4)を満たしていれば、「配偶者控除」または「配偶者特別控除」を受けることができます。

配偶者控除(配偶者特別控除)では、配偶者がいる納税者に対して、税法上の優遇が行われます。納税者は、最大で38万円金額が控除されるほか、配偶者も収入が一定額以下であれば課税されません。

※参考元:国税庁『No.1191 配偶者控除

社会保険上の扶養家族・配偶者の定義

扶養家族

社会保険上(健康保険や国民年金)の扶養は、年収130万円未満の扶養家族が対象となります。以下の条件をすべて満たすと社会保険上の被扶養者、「扶養家族」となります。

  1. 被保険者(保険に加入している人)の収入によって扶養家族が生活していること
  2. 被保険者以外の健康保険組合に加入していないこと
  3. 扶養家族の収入が以下の条件をすべて満たしていること
    ・年間収入が130万円未満であること
    *60歳以上および障がい者は、180万円未満(1ヶ月あたり15万円未満)
    ・同居の場合、収入が被保険者の収入の半分未満であること
    ・別居の場合、収入が被保険者からの仕送り額未満であること
  4. 3親等以内の同居親族または扶養可能な別居親族であること
    ①配偶者、子・孫・兄弟姉妹・、父母・祖父母(同居の有無は問わない)
    ②①以外の同居している3親等以内の親族(伯叔父母・甥姪とその配偶者など)
    ③同居している内縁関係の配偶者の父母・子(配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)

社会保険上の扶養家族のメリット

被保険者が扶養家族分の社会保険料を含めて一括で支払う形になるため、扶養家族は社会保険料が免除されます。

配偶者

社会保険上の「配偶者」は、戸籍上の配偶者だけでなく、事実婚・内縁関係の配偶者も含まれます。

社会保険上の配偶者のメリット

被保険者が配偶者を扶養に入れた場合、配偶者も他の扶養家族と同様に、社会保険料の支払いが免除されます。

ただし、配偶者を含む扶養家族が、社会保険の加入要件を満たす一定の収入や労働日数、労働条件を超えて働くと、扶養から外れ自身で社会保険に入ることになってしまいます。被保険者の扶養内で働きたい場合は、社会保険の加入要件に注意しておきましょう。

履歴書における扶養家族・配偶者欄の書き方

履歴書における扶養家族・配偶者欄の書き方

ここまで税法上や社会保険上の「扶養家族」と「配偶者」の定義について確認してきましたが、いよいよ本題となる履歴書の書き方です。履歴書には、「扶養家族の人数(配偶者を除く)」「配偶者の有無」「配偶者の扶養義務」を記入する欄があるのが一般的です。

しかし、扶養家族や配偶者について履歴書に記載するのには、どんな理由があり、どのように記載するのが良いのでしょうか。

それぞれの定義を振り返りながら、履歴書の記載方法について、しっかりと確認しましょう。

履歴書に扶養家族や配偶者を書く理由

履歴書に扶養家族や配偶者を記入する理由は、社会保険の加入手続きや各種税金の計算をするときに、扶養家族や配偶者の情報が必要になるため。

また、会社によっては、社宅や住宅手当、家族手当の支給のために確認するケースもあります。各種手当の支給条件は会社によって異なるため、扶養家族や配偶者についての補足がある場合は、その旨も記載しておきましょう。

扶養家族の人数(配偶者を除く)

扶養家族の人数の欄には、自身と配偶者を含まない「扶養している家族の人数」を記載します。

なお、税法上では16歳未満の子どもは扶養家族とはなりませんが、社会保険上の定義を適用して、扶養家族の人数に入れておくのが一般的。子どもの他にも、税法上または社会保険上で一部例外となる扶養家族がいる場合は、その旨を記載しておくと良いでしょう。

配偶者の有無

履歴書の配偶者欄は、結婚していれば「有」、独身なら「無」に〇を付ける形で記載します。

ただし、税法上の配偶者は、「民法上の配偶者(戸籍上の配偶者)であること」という要件があり、事実婚内縁の妻や夫は含まれません。一方、社会保険上では、戸籍上の配偶者だけでなく、婚姻届けを提出していない事実婚・内縁関係の配偶者も含まれます。

そのため、事実婚の場合は「有」とした上で、事実婚・内縁関係である旨を記載しておきましょう。

配偶者の扶養義務

配偶者の扶養義務の欄は、配偶者がいない場合や配偶者に一定の収入があり扶養義務がない場合は「無」となります。

一方、配偶者が扶養家族の要件を満たしている場合は「有」に〇を付けます。こちらも、税法上または社会保険上で一部例外となる場合は、その旨を記載しておくと良いでしょう。

扶養家族・配偶者欄の状況別具体例

ここまで、扶養家族や配偶者の情報を、履歴書に記載する理由や書き方について解説してきました。

ここでは、ご自身や扶養家族・配偶者の状況に応じた書き方の具体例をいくつかご紹介します。ご自身の状況と照らし合わせながら、参考にしてみてくださいね。

独身の場合

独身の場合、「配偶者の有無」と「配偶者の扶養義務」は、ともに「無」となります。

「扶養家族の人数」の欄は、税法上や社会保険上の要件に当てはまる親や親族がいる場合に、扶養している家族の人数を記載します。

既婚の場合

既婚の場合、「配偶者の有無」の欄は「有」となりますが、自分以外の家族の収入の額によって、「扶養家族の人数」や「配偶者の扶養義務」は変わってきます。家族構成や収入に応じた記入例をいくつかご紹介します。

家族編成 扶養家族の人数
(配偶者を除く)
配偶者の
有無
配偶者の
扶養義務
夫(扶養者/扶養する側)、妻(年収130万円未満)
子ども1人(収入なし)
1
夫(扶養者)、妻(年収130万円以上)
子ども1人(年収130万円未満)
1
夫(扶養者)、妻(年収130万円以上)
子ども1人(年収130万円以上)
0

扶養家族・配偶者の意味を理解し、履歴書でも正しく記載しよう

今回は、履歴書の「扶養家族の人数」「配偶者の有無」「配偶者の扶養義務」に関して、扶養家族・配偶者の定義や各項目を記載する理由、書き方についてご紹介してきました。

見落としがちな箇所ではありますが、履歴書に記載する必要がある重要項目。扶養家族の人数や配偶者の扶養義務について、「今まで定義がよく分かっていなかった」「記入するときに迷っていた」という方も、疑問が解消されたのではないでしょうか。

なお、派遣でのお仕事を始める際も、扶養家族や配偶者について確認があるので、不明点があるときや記入に迷ったときは、一度パソナの登録担当に相談してみてくださいね。

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